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メーカー | CASIO |
型名 | fx-9750GII | |
種別 | グラフ電卓(CASなし) | |
発売開始 | 2009年 | |
製造終了 | - | |
寸法 |
奥行180.5mm × 幅87.5mm × 厚さ21.2mm(メーカー公表値)
奥行180.0mm × 幅87.5mm × 厚さ約22mm(実測値) 奥行182.5mm × 幅87.5mm × 厚さ約26mm(スライドケース背面装着時の実測値) |
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重量 |
7.23oz ≒ 205g(付属電池込みの公表値)※実測値202gとほぼ一致
246g(付属電池、スライドケース込みの実測値) |
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入力方式 | ライン表示入出力 | |
画面 | 白黒フルドットマトリックス液晶 128×64画素 | |
CPU | SH-4A (29.49MHz) ※fx-9860GIIと同じクロック周波数と思われる | |
RAM |
容量不明。海外のWebサイトで 512KB としているところが少数あるが明確な出典がない。ただし、システムチップを 上位機種 fx-9860GII と共有している可能性があり、512KBはありえる。
(ハードウェア取扱説明書に書かれている「プログラム容量:最大62,000バイト」は、RAMの中の62,000バイトだけをプログラムに使えるという意味である。) |
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ROM/Flash | なし(公式には「なし」ということになっているが、fx-9750GII の OS の書換をしている人がネット上に存在するので、少なくとも OS はフラッシュメモリに格納されている) | |
電源 | 単4形アルカリ乾電池 × 4本 | |
プログラミング言語 |
CASIO独特の言語。構造化されておらず、特殊な記号を使う。
一部の人が"CASIO BASIC"と称しているが、説明書に"CASIO BASIC"とは一切書かれていない。 |
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公式ページ | FX-9750GII - Graphing | Casio USA | |
説明書URL |
(英語)
fx-9750GII | Calculators | Manuals | CASIO
(日本語) fx-9860GII 取扱説明書ダウンロード (fx-9750GIIの操作方法も書かれている) |
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著者の購入年 | 2017年5月(入手した月) | |
著者の購入価格(購入店) | $44.48(Amazon USA)※送料、税関費用などは別 |
本機 fx-9750GII は CASIO fx-9860GII の廉価版です。 アメリカ合衆国における希望小売価格 $49.99 という激安グラフ電卓です。
ハードウェアの作りは fx-9860GII よりも安っぽくなっています。
OSも一部機能が削除されています。しかし、操作方法はほとんど一緒です。
PC接続ソフト
FA-124
も同様に利用可能です。
このレビューはOSバージョン 2.04 に基いています。
本機は fx-9860GII から機能を削減したものですので、fx-9860GII との違いだけをレビューします。
そのため、
fx-9860GII のレビュー
を参照してからここを読んで下さい。
fx-9750GII は上位機種 fx-9860GII から以下の機能を削除されています。
(1) 自然入出力モード(教科書表示入出力)
(2) ベクトル計算
(3) 表計算
(4) eActivity(電子教材。メモのような使い方もできる)
(5) 保存メモリー(フラッシュメモリ)
(6) E-CON3モード(ただし、fx-9750GIIは E-CON2モードを利用可能)
fx-9750GII のメインメニューは下図のようになっています。
見てのように fx-9860GII より機能が減っています。
各項目の意味は
fx-9860GII レビュー「CASはないが豊富な機能」
を参照してください。
上述の(1)~(6)について説明します。
今時ながら、一般関数電卓の CASIO fx-375ES でも可能な自然入出力モードがありません。
一昔前のグラフ電卓・関数電卓のようにライン入出力を使います。
そのため、微積分、総和、対数関数などを全て引数付関数として入力しないといけないので、引数の順番を覚えておく必要があります(本機のカタログ機能に引数の順番を調べる機能はない)。
下図は総和、微積分、対数関数の計算をしている図です。こういうとき、ライン入出力は分かり難いものです。
ただし、fx-9860GII のレビューに書いたように fx-9860GII の自然入出力モードは制約もあるので、ライン入出力モードのときの方が便利な時もあります。
ベクトルの内積は行列計算で代用できます。しかし、外積はできません。 そのため、ベクトル計算を使う人には問題かと思われます。
これらの機能はなくてもグラフ電卓として成立するので、廉価版の本機では削除されたのでしょう。 統計機能のリストエディターで簡易な表計算なら代用できるときもあります。
ユーザーがフラッシュメモリを読み書きすることはできません。 fx-9750GII の OS は明らかにフラッシュメモリに焼かれているのですが、容量の問題なのかユーザーが使えないようになっています。 そのため、メインメモリー(RAM)のバックアップをするときはWindowsマシンとPC接続ソフト FA-124 が必須になります。 当然のことながら アドインソフト Geometry(GEOM) もインストールできません。
fx-9750GII の場合、理科の実験に使うモードが E-CON3 ではなく E-CON2 になっています。 両者の機能的な違いはほとんどなく、E-CON3 はデータロガーとして CASIO EA-200 及び CMA社製CLAB を使えるのに対して、E-CON2 は CASIO EA-200 のみ使えるというだけのようです。 これらの機能は海外の学校で使われるものであり、日本人には必要がないと思われます。
fx-9750GII は上位機種 fx-9860GII と比較して以下の点が異なります。
(1) 筐体の見た目が安っぽくなった。
(2) 筐体が一回り小型になった。
(3) PCと接続するためのUSBケーブルが付属していない。
(4) キーストローク(キーの上下動の長さ)が短くなり、キーの感触が少し固くなった。
(5) バックライトがなくなった。
(6) 液晶画面が小型になって見辛い(解像度は同じ)→画像集参照
(7) 工場出荷時設定の液晶のコントラスト(明暗の差)が強すぎる。
キーが少し押し難くなり、液晶が見辛くなったのですから使いやすさはどうしても上位機種より低下します。
(7)については説明が必要でしょう。
ここで工場出荷時の液晶画面を見てください。
液晶のコントラスト(明暗の差)設定が強すぎてクロストーク(液晶に不要な線が表示される現象)が発生しています(右下が分かりやすい)。
コントラストが強すぎるせいかこの写真では青っぽく写っています。
次にコントラストを低下させてクロストークを少なくした画面を見てください。 不要な線は少なくなりました。色合いも良くなりました。
このようにコントラスト調整でクロストークの改善が可能です(電池を抜くと工場出荷時設定に戻る)。
しかし、工場出荷時設定でどうしてここまでコントラストを強くしているのかよく分かりません。
もしかしたら安いがゆえに液晶パネルの個体差が激しいのかもしれません。
別の個体だと工場出荷時設定でも調度良いコントラストになっている可能性はあります。
完全に海外の教育用途専用のグラフ電卓と考えて問題ないでしょう。 価格は安いのですが、機能も使いやすさも値段なりです。
ただし、日本で購入するには自分で輸入したり、並行輸入品の購入が必要なので価格はかなり高くなります。 日本人がわざわざ購入する必要はないと思われます(もちろんコレクターは別)。
ただし、CPUは上位機種 fx-9860GII と同じですのでかなりの高速性能を発揮します。 以下のベンチマークによると、上位機種 fx-9860GII よりも本機 fx-9750GII の方が多少高速です。 OSが上位機種よりも単純なので、上位機種よりも高速化したようです。
電卓ベンチマーク01(三角関数を含んだ式の総和)
電卓ベンチマーク02(三角関数を含んだ式の積分)
しかし、高速性能以外には特に利点もないと思います。
本機はあまりお勧めできるものではありません。 しかし、価格を考えるとよくできていますし、海外の教育用途だと実用範囲の製品と言えます。